サイトハウンドと嗅覚作業 藤田りか子

2017年1月

TERRA CANINAの2号ではサイトハウンドが多く登場する。これは実はたまたまなのであるが、サイトハウンドファンであれば、この上もなく嬉しい機会だろう。イタリアン・グレーハウンド以外この犬種グループが犬雑誌で取り上げられることは日本では滅多にないし…。

サイトハウンドといえば、この間「ノーズワーク」というドッグスポーツの競技会に参加した時に、ウィペットに出会った。このスポーツはその名の通り鼻を使って作業をさせる嗅覚の競技だ。そんなスポーツを、まさか「視覚のハウンド」がこなせるなんて、誰も夢にも思わない。実際、嗅覚関連の競技会においてこのタイプの犬種を見かけるのは稀である。しかしサイトハウンドとはいえ、犬だ。そもそもサイトハウンドというカテゴリー自体、狩猟における使われ方の区別にすぎない。嗅覚ハウンド(セントハウンド)はニオイに頼って獲物を見つける。だが、視覚ハウンド(サイトハウンド)では視覚刺激によって獲物を追う。 役目の違いであり、決して嗅覚が使えないとは誰も言っていない。ウィペットを競技会に連れていた飼い主は
「他の犬種に比べてニオイを探そうとドタバタした動きをみせず、割合ゆっくりとしたテンポでニオイを探そうとするから、かえってニオイを嗅ぎ逃すことがないです」
と話してくれた。そう、サイトハウンドの嗅覚能力を決して軽視してはいけない。上手にトレーニングをすれば、彼らにとって楽しいアクティビティになる。ノーズワーク以外でも、例えばトラッキング(足跡追求)やブラッド・トラッキング(手負いの獲物を血痕と足跡を辿って追跡する)のチャンピオンに輝いたサイトハウンドを私は知っている。

Photo: Rikako Fujita

嗅覚というのは、どの犬も持ち合わせている能力であるが、それをどう使わせてあげるか?ここがポイントである。この点で、犬種に関わらずどの犬もほぼ同じスタートラインに立っていると考えたい。スポーツとして機能するようその使い方を教えるのは人の役目だ。それには、正しいニオイを追ったらご褒美を与え、そのニオイに対してのモチベーションを犬に与える。あ、そうだ、モチベーション!実はこれが問題だったりするのだ、サイトハウンドの場合。人間の差し出すご褒美に毎回喜びを見出すレトリーバーのようなサイトハウンドは実際に非常に少ないだろう。でも決していないわけではない。

というわけで、嗅覚スポーツの世界にサイトハウンドをあまり見かけない理由は単純に嗅覚の問題ではないようだ。